最高裁判所=東京都千代田区【時事通信社】 性同一性障害特例法が戸籍上の性別を変更する要件として性別適合手術を掲げていることは憲法に違反するかどうかが争われた家事審判で、最高裁の審理が大法廷で行われることになった。2019年の最高裁小法廷決定では合憲と判断されたが、今回、判例変更があるのではと関係者の間では期待が高まっている。こうした動きについて山形大学准教授の池田弘乃さん(法哲学、ジェンダー・セクシュアリティと法)に寄稿してもらった。 ◇ ◇ ◇ 2003年、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」という法律(特例法)が制定された(04年7月施行)。一つの法律を作るというのは大変な作業である。まして議員立法の場合は、懸命の合意形成や苦渋の決断が必要になることも少なくない。特例法もそんな議員立法の一つである。特例法の対象となるのは「性同一性障害者」である。同法はその定義から始ま