コロナ禍で先行きが見通せない中、「絶望」をテーマにした名言本が重版になり、注目を集めています。著者は、30年以上、潰瘍性大腸炎という難病を抱える頭木弘樹さん(55)。「希望」の言葉ではなく、あえて「絶望」の言葉を紹介し続けるのはなぜなのでしょうか。(朝日新聞記者・小川尭洋) 3つの著書が重版 頭木さんは、闘病生活を経て35歳の時、不条理文学の作家として知られるフランツ・カフカの翻訳本でデビュー。以来、カフカやドストエフスキー、太宰治など近現代作家の名言を中心に翻訳・編集し、本を出しています。 名言と言うと、希望に満ちた言葉を思い浮かべますが、頭木さんの選ぶ言葉は、真逆の「絶望名言」です。 「失恋した時に失恋ソングを聴くと落ち着くことがありますよね。絶望的な気持ちの時は、明るい言葉よりも、暗い言葉の方が共感できて、心に響くことがあると思うんです」 頭木さんの著書の根底にあるコンセプトは、「絶