中世の彩飾写本の作り方をご紹介します。 「中世の写本」とは言っても、時代、地域、流派、用途ごとにかなりのバリエーションがあります。ここでは、中世末期(ルネサンス初期)15世紀末時禱書(じとうしょ)の代表的な作り方をご紹介。 中世の写本作りは、羊皮紙作りはもちろん、筆写、彩色、製本など、工程ごとに違った職人が担当する分担作業です。 ※ 時禱書とは、キリスト教の平信徒が持つお祈りの本。聖人の記念日が書かれた1年のカレンダーから始まり、4福音書からの抜粋、聖母マリアへの祈り、聖母マリアの時課、十字架の時課、聖霊の時課、死者の時課、告解詩篇、そして追悼聖務という各セクションがあります。スタンダードな内容に加え、地域ごとの聖人を祭った記念日や祈りを追加したり、逆にセクションを削除したりしてカスタマイズしたものも作られていました。 羊皮紙の準備 本を作るためにはまず羊皮紙が必要ですが、どのくらい用意す