午前6時前に文部科学省に登庁した朝倉。ふだんとは違って、暗い色のスーツ姿で現れた。大臣の「黒子」に徹する秘書官のイメージに合わせたそうだ。 大臣室は11階にある。秘書官たちが詰めているのは、その隣にある部屋だ。 そこに、朝倉より早く出勤していた人物がいた。入省20年目の梅原弘史。彼こそが、萩生田光一大臣の事務秘書官だ。科学技術に関わる政策や、小中学校・高校の教育政策、ロシア大使館での勤務と、幅広い実務経験がある。今回の研修では、朝倉の指導役を務めた。 秘書官にとって、毎朝欠かせないのが新聞のチェックだ。隅々まで目を通し、文部科学省に関係した記事はないか、大臣が関心を示しそうな記事がないか、あるいは大臣自身のことが記事になっていないか、くまなく探す。 見つければ、コピーを…しない。文部科学省は著作権も所管する。このため梅原は、大事な記事があれば頭にたたき込んで報告する。大臣に文面で読ませたい