童顔の投資家 投資委員会から半年前に遡る、2006年1月7日の夕方。溜池山王の交差点にある、古いオフィスビルの一室。ガランとした会議室の中に、夕日がさしかかっている。 待ち合わせの時間から、四十分が過ぎていた。そろそろ、帰ろうかな。そう思い始めたとき、その投資家は、ドタバタと駆け込んできた。 「いやぁー、ごめんなさい、本当にすみません。前の打ち合わせからどうしても抜けられなくて。はじめまして、谷家です。あれ?名刺がない。あれ、あれ?」 「いかにも」という感じの外資系金融マンが悠然と入ってくる姿をイメージしていた僕は、すっかり拍子抜けした。身長は160センチ程度の、小柄な体型。黒いリュックを肩にかけ、スーツは少し大きくてサイズが合っていないように見えた。少し伸びすぎた黒い髪も、寝癖が残っている。あえて金融マンっぽいところがあれば、手に新聞を握りしめ、株価のページが開かれていたことか。 「はじ