「致富乎防貧乎 (上・下) 政府の細民調査」大阪朝日新聞1918.1.3-1.4 神戸大学 電子図書館システム 大正7年の記事より一部を以下に抜粋する。 これは政府の貧困調査(細民調査)に対する大阪朝日新聞の意見である。 現在の生活保護制度を巡る諸般の見解に対しても有益な点があろう、という意味では、実際のところ「現在の」新聞各紙が展開する論調よりもはるかにまとも、でさえあるわけだが、順に追っていくとしよう。 ① 貧困は現代文明の光輝に伴う陰影にして個人も社会も共に力を合せて之が撲滅を期すべき所、殊に近代文化国家の重要なる使命は、係りて此の問題に存する まず一番目の貧困の撲滅は近代文化国家の使命である、という論調については異論の無いところであろう。 ② 其の調査事項の範囲又著しく広汎にして、其住居、家計より心理状態にまで及ぶと雖もこは決して初期の調査の方法として宜しきを得たるものと云う