パク・チャヌク『渇き』の下敷きとなったゾラの『テレーズ・ラカン』を読み直した。 アルジェリアで、フランス人の軍人と現地の女との間に生まれたテレーズは、幼くして叔母のラカン夫人に引き取られ、夫人のひとり息子で病弱なカミーユと一緒に育てられる。成長したテレーズは、叔母の希望にしたがい、カミーユの妻となるが、本来、激しい気性の持ち主である彼女はこの結婚生活に満足することができない。そんな彼女の前に、ある日、カミーユの幼馴染みで、画家くずれのローランという男が現れる。 健康的で、豪放な性格の持ち主にみえるこの男に、テレーズは強く惹かれる。ローランは、たちまちテレーズの心を見抜き、彼女と関係を結ぶようになる。はじめは軽い気持で、テレーズに手を出したローランだったが、やがて彼女の虜になってしまう。そして、ふたりがカミーユの存在を邪魔に思うようにまでに時間はかからなかった。 妻と幼馴染みとの関係を一瞬た