前回「経済成長は七難を隠す」で述べたように、基本的に経済成長は多くの経済的問題を解決し、人々の暮らしをより豊かにするはずだ。なお、念のために言っておくと、ここで言う経済成長とは「サステナブルでかつ経済の潜在力を十分生かした」成長のことを指している。インフレになったり、バブルが起きたりしても構わないと言っているわけではない。 ところが最近各方面で「これ以上の経済成長は必要ない」という「脱成長論」が多く見られるようになった。代表的なものとして「今回の大震災を契機に、脱成長に向かうべきだ」「国内総生産(GDP)の成長よりも幸福度を重視すべきだ」「地球環境などの制約を考えるとこれ以上成長を追及するのは無理だ」といったものがある。 こうした脱成長論はいつの時代にもあった。高度成長期の1970年代には「くたばれGNP(当時はGDP、国内総生産ではなく、GNP、国民総生産を主に使っていた)」という議論が
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