作者の著作を読んだことがない人でも、彼が作った本は手にしたことがあるかもしれない。矢萩多聞は今、最も注目を集めている装丁家の一人だ。装丁家にもさまざまな流儀がある。カバー、帯など書物の外見をデザインする人、さらにはそれに加え、文字組み、扉、書体、紙の選定など、書物のすべてに「気」を充足させる仕事をする者もいる。矢萩はそうした数少ない、言葉を書物に新生させる職人の一人である。 この本は、「就職しないで生きるには21」というシリーズの一冊として書かれている。作者は、中学校を卒業していない。高校、大学も出ていない。中学一年生で学校に行かなくなり、十四歳でインドに渡って暮らし始めた。帰国後、絵を書き始めるのだが、機縁が重なりいつの間にか装丁家になった。今もインドに借家があり、折にふれ訪れている、そんな人物だから確かに適任ではある。だが、作者は、「はしがき」ですでに、ここには就職しないで生きる方法な
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