『断面で読み解く世界の建築』(ポール・ルイス、マーク・ツルマキ、デヴィッド・J・ルイス著、グラフィック社・2800円+税)は、主にプロや建築を学ぶ学生に向けた専門書である。けれども、建物をスパッと垂直に切って中身を見せる断面図は、シロウトが見ても単純に面白い。現実には見られない風景だからだ。 床や壁の位置関係や、吹き抜け、エレベーターなどが一望できる断面図からは、人の動きや空気の流れ、光の入り方が容易に推測できる。掲載されているのは、世界のスター建築家による名作ばかり。現代建築の斬新な構造、ユニークな発想も、断面から見えてくる。(黒沢綾子)