AfD(ドイツのための選択肢)、Pegida、アイデンティティ運動...。ともすれば、ヨーロッパ各国でおなじみの、反移民、反難民、反ポリティカル・コレクトネスを掲げて湧いて出てきた右翼ポピュリズム、と単純に理解されがちなドイツの極右勢力も、実際には戦後の連邦共和国を生き延びてきた思想的遺産の継承者にほかならず、一定の長い歴史を持っている。 本書は、戦間期の「非ナチス」的右翼としての「保守革命」(A・モーラー)の流れを汲み、1968年を否定的媒介に立場を確立し、2010年代の情勢を好機に一挙に台頭したドイツの「新右翼」をめぐる、時事報告と思想史記述を兼ねた一冊である。最終的に、その射程は、「夕べの国」の概念史、「大圏域」の地政学(C・シュミット)と新ユーラシア主義(露)、果てはオルト・ライト(米)やイスラーム主義との不気味な共鳴にまで及ぶことになる。 ■ 本書の目次 ↑