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ブックマーク / www.kyoto-u.ac.jp (14)

  • 子どものジェンダーステレオタイプが生じる時期を解明

    世界経済フォーラムが2022年に発表したジェンダーギャップ指数において、146か国中116位であったことからわかるように、我が国は世界に見てもジェンダーギャップが大きい国の一つだといえます。このようなジェンダーギャップを生みだす要因は様々ありますが、その主な一つとして、「男性は頭がいい、女性は優しい」などのようなジェンダーに対する思い込み(ジェンダーステレオタイプ)が考えられます。ジェンダーステレオタイプを持つ子どもは、それらのイメージに沿うように普段の振る舞いや進路・職業選択を行い、その結果として、ジェンダーギャップが維持・拡大されるという悪循環が多くの研究で指摘されています。例えば、「男性=賢い」のようなステレオタイプを持つことによって、女性が数学や科学を敬遠し、科学者などの職業を選択しなくなる可能性があります。しかしながら、我が国においてこのようなジェンダーステレオタイプはいつごろか

    子どものジェンダーステレオタイプが生じる時期を解明
  • 一般相対性理論におけるエネルギー概念の革新 -ブラックホールの新しい描像と新しい保存量-

    青木慎也 基礎物理学研究所教授、横山修一 同特任助教、大野木哲也 大阪大学教授らの研究グループは、一般相対性理論発見当初から懸案であった一般の曲がった時空において正しいエネルギーの定義を提唱しました。さらにその定義を自然に拡張することで宇宙全体からなる系で、エネルギーとは異なる、別の新しい保存量が存在することを理論的に示しました。 アインシュタインが提唱した一般相対性理論においてエネルギーを含め観測される量は一般座標変換で不変な量でなければなりません。ところが一般相対性理論提唱当初から一般座標変換で不変なエネルギーの定義に困難があったため、その困難を回避しながらエネルギーを計算する様々な試みが行われてきました。研究グループは、重力の量子論を研究する過程で一般座標不変なエネルギーの定義を発見しました。そしてこの定義をシュワルツシルトブラックホールに適用することで、ブラックホールは特異点に物

    一般相対性理論におけるエネルギー概念の革新 -ブラックホールの新しい描像と新しい保存量-
  • 一方向にのみ電気抵抗がゼロとなる超伝導ダイオード効果を発見 -エネルギー非散逸な電子回路の実現に向け期待-

    小野輝男 化学研究所教授、安藤冬希 同博士課程学生(研究当時)らの研究グループは、柳瀬陽一 理学研究科教授、荒川智紀 大阪大学助教らと共同で、非対称構造を有する超伝導人工格子において、一方向にのみ電気抵抗がゼロとなる超伝導ダイオード効果を初めて観測しました。 ダイオードとは、順方向に電流をよく流す一方で逆方向にはほとんど流さない特性を持つ素子であり、整流器・混合器・光検出器など数多くの電子部品に半導体ダイオードが利用されています。しかし、半導体の電気抵抗はゼロでない有限の値を持つため、各部品におけるエネルギー損失の問題が避けられません。そこで、半導体ではなく電気抵抗ゼロの超伝導体にダイオードの特性を付与すること、即ち超伝導ダイオードの実現が望まれていました。 研究では、ニオブ(Nb)層、バナジウム(V)層、タンタル(Ta)層から構成される非対称構造を有した超伝導人工格子において、臨界電流

    一方向にのみ電気抵抗がゼロとなる超伝導ダイオード効果を発見 -エネルギー非散逸な電子回路の実現に向け期待-
  • カエルとヘビの膠着状態のメカニズムを説明 -双方にとって後手に回って行動することが有利となる-

    西海望 理学研究科 博士課程学生(現・基礎生物学研究所・日学術振興会特別研究員)、森哲 同准教授は、カエルとヘビが対峙したまま動きを止める現象が、双方の適応的な意思決定によって成り立つことを明らかにしました。 捕者と被者が対峙したとき、先手を取った側が有利であると一般的に考えられてきました。しかし、トノサマガエルとシマヘビにおいては、先手で動き始めると相手の対抗手段に対して脆弱になってしまうことが明らかになりました。そして、双方ともに後手に回ろうとした結果、我慢比べのような膠着状態が生じうることが示されました。また、この先手が不利となる状況の成立は両者間の距離に依存しており、トノサマガエルとシマヘビは、距離に応じて先手を取るかどうかを適切に選択していることが明らかになりました。 研究成果は、捕者と被者の戦略に新たな視点を提起するものです。また、恐怖で動けないことの喩えとして用い

    カエルとヘビの膠着状態のメカニズムを説明 -双方にとって後手に回って行動することが有利となる-
  • 日本人の表情がエクマンの理論とは異なることを実証 -世界で初めて日本人の基本6感情の表情を報告-

    佐藤弥 こころの未来研究センター特定准教授らの研究グループは、日人65人を対象として、表情の表出を調べ、日人の表情が心理学研究において著名なエクマン博士の理論とは異なることを実証しました。 表情は感情を表すメディアで、人のコミュニケーションに不可欠です。エクマンは、感情を表す普遍的な表情があるという理論を提案しました。理論は、観察や直感に基づいていましたが、基感情の表情表出を実証的に調べた先行研究は、この理論を部分的にしか支持していませんでした。さらに、そうした研究は今まで、西洋文化圏でしか実施されていませんでした。 研究では、被験者は基6感情(怒り・嫌悪・恐怖・喜び・悲しみ・驚き)のシナリオに基づいて表情を表出しました。その結果、写真条件ではターゲットの感情が明確に表出されましたが、シナリオ条件では幸福と驚きの条件でしかターゲット感情ははっきりと表出されませんでした。さらに、写

    日本人の表情がエクマンの理論とは異なることを実証 -世界で初めて日本人の基本6感情の表情を報告-
  • 世界で初めて「性を失った」シロアリを発見 -シロアリの常識を覆すメスだけの社会- — 京都大学

    矢代敏久 農学研究科特定研究員(現・シドニー大学研究員)、松浦健二 同教授、小林和也 フィールド科学教育研究センター講師らの研究グループは、来はオスとメスが共同で社会生活を営んでいるシロアリにおいて、メスしか存在せず、単為生殖だけで繁殖しているシロアリを世界で初めて発見しました。 研究成果は、2018年9月25日に、英国の科学誌「BMC Biology」のオンライン版に掲載されました。 アリとシロアリの社会の違いは何かと聞かれた時に、まずお答えするポイントは、アリはメス社会、シロアリは両性社会を営んでいるということです。アリの社会は女王とメスのみのワーカーで構成されている(オスは交尾すると死んでしまう)のに対し、シロアリの社会には王と女王、そしてオスとメスのワーカーや兵アリがいます。 しかし、この大前提はもはや適当ではなくなりました。なぜなら、シロアリであるにもかかわらず、メスしかいな

    世界で初めて「性を失った」シロアリを発見 -シロアリの常識を覆すメスだけの社会- — 京都大学
  • サイコパスがためらいなく嘘をつく脳のメカニズムを明らかにしました

    阿部修士 こころの未来研究センター特定准教授、Joshua D. Greene 米国ハーバード大学教授、Kent A. Kiehl 米国ニューメキシコ大学教授らの研究グループは、反社会性パーソナリティ障害である「サイコパス」が、ためらうことなく、半ば自動的に嘘をついてしまう傾向があり、その背景に前部帯状回の活動低下があることを世界で初めて実証しました。 研究成果は、2018年7月3日に英国の国際学術誌「Social Cognitive and Affective Neuroscience」のオンライン版に掲載されました。 研究では収監中の囚人の方にご協力をいただいて、サイコパスについての研究をする貴重な機会を得ることができました。平然と嘘をつくとされるサイコパスを、心理学および神経科学の観点から理解するための、重要なステップとなる成果と考えています。 現状、日国内だけでは、こうした研

    サイコパスがためらいなく嘘をつく脳のメカニズムを明らかにしました
  • 情報量は宇宙トンネルの断面積 -ミクロな情報量を計算する幾何学的公式の発見-

    滉嗣 基礎物理学研究所修士課程学生と高柳匡 同教授は、量子ビットの「Entanglement of Purification」(純粋化量子もつれ)と呼ばれる情報量を計算する新しい幾何学的公式を発見しました。 研究成果は、2018年3月26日に国際学術誌「Nature Physics」にオンライン掲載されました。 量子もつれの量を幾何学的に計算する公式を著者の一人 ( 高柳 ) がポスドク時代に発見してから10年以上経過しました。この研究成果は、「宇宙が量子ビットで創られている」という新しいアイデアを生み出し、最近では世界中で活発に研究が進められている大きな研究テーマとなっています。しかし、この発見は氷山の一角に過ぎませんでした。ずっと一般的な公式が存在することが予想されていたにも関わらず、なかなか明確な答えを得ることができなかったのです。ところが、今回、修士課程学生(梅)の鋭い洞察

    情報量は宇宙トンネルの断面積 -ミクロな情報量を計算する幾何学的公式の発見-
  • シジュウカラの音声言語、単語から指示対象をイメージする能力を確認

    従来、動物の音声コミュニケーションは、話し手が聞き手の行動を機械的に操作する単純なものであると考えられてきました。研究は、この枠組みを覆しうる大きな成果です。「リンゴ」と聞くと赤いリンゴを頭に思い描くように、シジュウカラも「ヘビ」を示す鳴き声からヘビをイメージできるのです。私たちが会話の中で用いる様々な認知能力は、実は他の動物にも広く進化しているのかもしれません。 概要 シジュウカラは天敵のヘビをみつけると、「ジャージャー」と聞こえる特別な鳴き声を発し、仲間に警戒を促します。この鳴き声は、ヘビに遭遇した時以外に発せられることがないので、「ヘビ」を示す単語(名詞)であるかもしれません。もしそうであれば、ヒトの言語と同様に、仲間のシジュウカラ(聞き手)にヘビのイメージを想起させる可能性があります。 そこで研究では、このヘビ特異的な鳴き声が、仲間のシジュウカラ(聞き手)にヘビに関する視覚イメ

    シジュウカラの音声言語、単語から指示対象をイメージする能力を確認
  • 文法を操るシジュウカラは初めて聞いた文章も正しく理解できる

    鈴木俊貴 生態学研究センター研究員らの研究グループは、鳥類のシジュウカラが文法のルールを当てはめることで、初めて聞いた文章(鳴き声の組み合わせ)であっても正しく理解できることを明らかにしました。 研究成果は、2017年7月28日午前1時に米国の学術誌「Current Biology」にオンライン掲載されました。 研究者からのコメント 私たちは、初めて読んだり聞いたりした単語の組み合わせ(文章)であっても、それが文法的に正しいかどうか瞬時に判断し、意味を理解することができます。一方、動物のコミュニケーションは、各種音声に決まった反応を示す単純なものであると考えられてきました。研究では、鳥類の一種・シジュウカラが文法のルールを当てはめることで、初めて聞いた鳴き声の組み合わせも正しく理解できることを明らかにしました。成果は、動物のコミュニケーション能力の柔軟性を明らかにしただけでなく、ヒト

    文法を操るシジュウカラは初めて聞いた文章も正しく理解できる
  • 見られていると絶縁体が安定化する -観測による量子多体状態の制御技術を確立-

    富田隆文 理学研究科博士課程学生、高橋義朗 同教授、段下一平 基礎物理学研究所助教らの研究グループは、レーザー光を組み合わせて作る光格子に極低温の原子気体(レーザー冷却、蒸発冷却などを施し、真空容器中の気体を絶対温度でナノケルビンの温度にまで液化・固化させることなく冷却させたもの)を導入し、周囲の環境との相互作用によるエネルギーや粒子の出入り(以下、散逸)が量子相転移(圧力や磁場などを変化させた際に量子力学的なゆらぎにより物質の状態が異なる状態へと変わること)に与える影響を観測することに、世界で初めて成功しました。 研究成果は、2017年12月23日午前4時に米国の科学誌「Science Advances」に掲載されました。 極低温原子気体を用いた量子シミュレーションは21世紀に始まった比較的新しい研究方法で、いまなお大きな発展の可能性を秘めています。今回の研究でシミュレートした開放量子

    見られていると絶縁体が安定化する -観測による量子多体状態の制御技術を確立-
  • 失った歯の数と動脈硬化が強く関連することをコホート研究で初めて証明 -歯周病の予防が動脈硬化を防ぐ可能性-

    浅井啓太 医学研究科助教らの研究グループは、2007年から2010年に滋賀県長浜市で行った、市民を対象とした大規模な疫学調査である「ながはま0次予防コホート事業」の第一期調査で得られた約10,000人の情報を用い、失った歯の数と動脈硬化度に有意な関連があることを証明しました。 研究は、口腔内の疾患と全身疾患の関係を明らかにし、多くの人の健康に深く影響する研究として、歯科口腔領域のトップジャーナル「Journal of Dental Research」の2016 William Gies Awardを受賞しました。 研究者からのコメント 近年、口の中の病気は動脈硬化だけでなく、糖尿病、呼吸器疾患、低出生体重児、リウマチなどさまざまな病気に関連していることが報告されています。研究により、口の中の病気の予防は、それらの疾患の予防につながる可能性があることが改めて示されました。ながはま0次予防

    失った歯の数と動脈硬化が強く関連することをコホート研究で初めて証明 -歯周病の予防が動脈硬化を防ぐ可能性-
  • 水も油もよく撥く柔軟多孔性物質「超撥水・超撥油性マシュマロゲル」の開発に成功 - 汚れを寄せ付けない素材として応用に期待 -

    ホーム 水も油もよく撥く柔軟多孔性物質「超撥水・超撥油性マシュマロゲル」の開発に成功 - 汚れを寄せ付けない素材として応用に期待 - 中西和樹 理学研究科准教授、金森主祥 同助教、早瀬元 博士後期課程学生の研究グループは、撥水性表面をもつ柔軟多孔性材料「マシュマロゲル」の細孔表面に撥油性の分子を結合させて表面エネルギーを低下させることにより「超撥水・超撥油性(水滴・油滴とも接触角が150度以上)マシュマロゲル」の開発に成功しました。 研究成果は、独化学誌「アンゲヴァンテ・へミー・インターナショナル・エディション(Angewandte Chemie International Edition)」オンライン版(2013年9月5日)に掲載されました。 概要  撥水・撥油性表面は防汚などの応用面から注目されている性質ですが、そのような表面の作製は容易でなく、表面微細加工技術などを駆使したさまざま

    水も油もよく撥く柔軟多孔性物質「超撥水・超撥油性マシュマロゲル」の開発に成功 - 汚れを寄せ付けない素材として応用に期待 -
  • 「再生できるプラナリア」と「再生できないプラナリア」の謎、解明される

    阿形清和 理学研究科教授、梅園良彦 徳島大学ソシオテクノサイエンス研究部学術研究員(2013年3月まで理化学研究所)らのグループは、100年来の謎であった「プラナリアの再生の仕組み」をついに分子レベルで解明しました。さらには、プラナリアの再生原理を理解することによって、もともと再生できないプラナリア種の遺伝的原因を解明し、世界で初めて人為的に再生を誘導することにも成功しました。 研究は、2013年7月25日午前2時(日時間)に英国総合科学誌「Nature」のオンライン速報版で発表されました。 概要  体をどんなに切られても、再生できる不死身で不思議な生き物「プラナリア」。プラナリアには幹細胞が全身に存在し、体の位置情報に従って失われた器官や組織を正しく再生することができます。特にナミウズムシは再生能力が高く、例えば、体を前後に切られても、頭部からは首と腹と尾が、尾部からは頭と首と腹が再

    「再生できるプラナリア」と「再生できないプラナリア」の謎、解明される
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