8 JR Iレビュー 2014 Vol.3, No.13 目 次 1.包括的╱収奪的な制度と中国経済─アセモグル=ロビンソンの議論より─ (1)中国の経済成長と「制度」 (2)脆弱な財産権の下での経済成長は可能か? (3)前近代における「スミス的成長」をめぐって 2.脆弱な財産権保護の下でのイノベーション (1)専制的な政治体制の下での自由な競争 (2)イノベーションと財産権の関係をどう考えるか 3.中国の経済成長パターンと分配の非効率性 (1) 「過剰資本蓄積」に陥った中国経済 (2)非国有部門の高い生産性と分配の非効率性 (3)低い労働分配率と高い家計貯蓄率 (4)非効率な分配はなぜ持続するのか 4.中国の経済成長はどのような点で“収奪的”なのか? なぜ中国経済論は収斂しないのか ─アセモグル・ロビンソンの制度論から考える─ 神戸大学大学院経済学研究科 准教授 梶谷 懐 なぜ中国経済論
57 『現代生命哲学研究』第 8 号 (2019 年 3 月):57-129 〈被害者の情念〉から〈被害者の表現〉へ 水俣病「一株運動」(1970 年)における被害者・加害者対話を検討する 小松原織香* はじめに 被害者は、加害者に対して「言いたいことがある」と思うことがある。本論 文はその〈被害者の情念〉を起点にして、被害者が加害者にものを申し、被害 者・加害者対話が起き、 〈情念〉が〈表現〉に転化する可能性を示す。ここでい う〈被害者の情念〉とは「怒り、恨み、憎しみ、悲しみ等、 〈加害者に対する激 しい感情〉 を加害者本人にぶつけたい」 という衝動である。 〈被害者の情念〉 は、 現行の司法制度からは排除されている。近代司法制度は客観性・中立性を中核 に据え、感情を排し、法に基づいて厳格に平等に判決を下すことを目指す。そ のため、司法制度は平等な法手続きの実施を担保すると同時に、被害者
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く