東京五輪・パラリンピックの音楽監督を務めた京都市上京区出身の音楽家田中知之さん(55)が、京都新聞社の取材に応じた。大会4日前に五輪開会式冒頭の約4分間の楽曲を急きょ30時間余りで作り上げたことや、新型コロナウイルス対策で計画の変更を余儀なくされるなど、さまざまな困難の中、重圧に向き合い続けた仕事について率直に語った。 ◇ 7月23日午後8時。新国立競技場で東京五輪の開会式が始まった。ピアノや弦楽器の静かな旋律が流れ出す。大会の招致決定から新型コロナウイルスで延期が決まるまでの映像が映し出され、さらに、本番までのカウントダウンの映像と共にスピード感ある音楽が響き、高揚感が高まった。 田中さんは、式典の冒頭約4分間の楽曲を開幕直前に制作し、全体の音楽監督を務めた。コロナ禍の大会で計画が大幅に変更され、制作陣の過去の言動による辞任で世論の目が厳しくなる中、どう音楽と大会に向きあったのだろうか。