新型コロナウイルス禍に戸惑う人々に向け、いかに生きるべきかを歴史学の立場から考察したインターネット上の短いテキストが話題を呼んでいる。京都大人文研准教授の藤原辰史さん(農業史)による「パンデミックを生きる指針」。今月2日に公開され、1週間に30万件超のアクセスがあったという。藤原さんは「危機の時代、それぞれが自分なりに腹をくくる必要がある。生き方を考えるきっかけにしてもらえたのでは」と話す。 岩波新書ホームページ「B面の岩波新書」に掲載された。「必読の文章」「文系の神髄ここにあり」「ものすごい熱量」といったコメントがSNS上で相次ぎ、閲覧数を伸ばしていった。「まさかこんなに反響があるとは。過去の歴史の声に耳を澄ませて『いたこ』のように伝えただけなのに」と本人も驚く反響の大きさ。それもそのはず。「何より強調したかったのは、甘い希望を抱いてはいけない、という暗いメッセージ」なのだから。 全6章