北海道・上士幌町の旧国鉄士幌線が廃線になって今年で30年。水没することから「幻の橋」で知られるタウシュベツ橋の崩落が進んでいる。地元関係者らは、「今年で見納めではないか」と懸念している。 士幌線は主に石炭を輸送するため、帯広から十勝三股の78.3キロを結んでいたが、エネルギーの石油への転換とそれに伴う人口減少から1987(同62)年に完全廃止となった。 旧士幌線は、大雪山国立公園内を通っていることから、形の美しいアーチ橋がいくつもかかっている。中でも、水位によって姿を現す「幻の橋」として人気なのがタウシュベツ川にかかるタウシュベツ川橋梁(通称メガネ橋)だ。11のアーチは古代ローマ時代の水道橋を思わせる美しい造り。しかし、1955(同30)年に糠平ダムの建設に伴い士幌線は掛け替えられ、人工の糠平湖に沈んでしまうことになった。現在は電源開発(東京)が所有している。