あまり日本では認知されていないけれど、英米では編集者の職種の中でもいわゆる「アクイジション・エディター」なるポジションがあって、それは主にタイトルや著者を見つけてとってくる(acquisition)ことが任務となります。 あまりそういった役割分担が明確化していない日本の出版業界の中でも、翻訳書の編集者は時にこのアクイジション・エディターであり、英米はじめ世界中の書籍タイトルの中からこれはと思う企画や著者に目をつけ、評価額を決め、オークションを闘いぬき、版権を取ってくることがそのパフォーマンスの要諦となります。 僕はこのアクイジション・エディターになって早10年ですが、振り返ってみると獲得するタイトルの選択についてはジャンルとは別にいくつか自分なりの基準があります。 そのひとつが、非エスタブリッシュメントであることです。 つまり、誰もが知っている有名人や企業など、すでに成功した人物のものでは