昨年11月某日。その姿は東京・高田馬場の小さな演芸場にあった。1990年代のトレンディードラマでおなじみの「カンチ」というせりふと「石原莞爾(かんじ)」をかけたかと思えば、近頃のアイドルグループの人数の多さを「人海戦術」といじる。 ボケの居島(おりしま)一平が繰り出す奔放かつ、緻密な口上を時折刺しにかかるのが、サンキュータツオ。取り立てて張るわけではない、ハイトーンボイスが心地いい。時事から平成、昭和。放送はできないかもしれない言葉が時代を結ぶ。いつしか観客は共犯めいてくる。 都内の寄席で活躍する「米粒写経」。早稲田大の落語研究会出身で、先輩の居島とコンビを組んで25年ほどになる。劇場や出番、客席の雰囲気などを察して、ネタの形を変えていく。そんな一期一会の笑いは、この日も途切れない。落語会へのゲスト出演。小柄な婦人がけたけたと体を揺らして笑った。 学生時代からお笑いや文学に熱中した。漫才コ