随分と前の話だ。 私が社会人になって何年も経っていなかった頃だと思う。 高校の同級生だった友人が仕事を辞めた。 メンタルをやってしまい精神科に通っていたらしい。 とりあえずは実家に戻ったので生活はできていたみたいだけど、 お金に困っているらしく外食するととにかく「一番安いもの」を頼む。 ファミレスに入って私は普通にランチをするのに、 昼を食べていない友人はドリンクバーとポテトだけだったりした。 見かねた私は「今日は出すから飯食いなよ」といって飯を奢った。 そういうことが何度かあっただろうか。 行く当てもなくぶらりとしながら、 「世界の正体」やら「人間の本質」について語り合う。 その友人は生きている日数よりも多くの冊数の本を読む「読書家」だったから、 「世界の底」が見えてしまい絶望していたのかもしれない。 妙に厭世的なペシミストだった。 食事に興味はないくせにタバコだけはやめられない。 会う