今年2月、東京・市ヶ谷の防衛省情報本部が入るC棟の1階出入り口付近で、不審なリュックサックが発見された。中には「部内限り」とされる持ち出し禁止の資料が入っていた。リュックの持ち主は、情報本部分析部に在籍する女性事務官だった。 情報本部の調査官が女性のパソコンを調べたところ、女性職員が中国人留学生と親しく交流していた事実が発覚した。パソコン内の文書には「彼に中国やアメリカの最高の分析を届けたい」という記述もあった。 調査官は女性職員への査問を繰り返したが、女性職員は機密漏洩の事実を否定。情報本部は中国人男性への調査を行わずに「情報漏洩の事実は確認されなかった」として調査を打ち切り、女性職員を3月末で退職させた。そして、防衛事務次官や官房長には報告を上げず、小野寺五典防衛大臣や首相官邸にも報告していなかった。 防衛省では本誌の取材を受けて、急遽、女性職員の資料持ち出し事件について記者発表