毎週日曜日更新のウェブマガジン。 俳句にまつわる諸々の事柄。 photo by Tenki SAIBARA 高浜虚子小論 〈季語〉の幽霊性について ……佐藤雄一 一般的に、高浜虚子(1874-1959)は河東碧梧桐(1873-1937)らによる新傾向俳句に反発し、有季定型を固守したいわゆる「旧守派」の俳人とされている。 もちろん虚子の膨大な句作を概観しただけでも、そのようなイメージに回収されえない例外を見出すことは容易だ。とはいえ、子規の月並批判をおおむね受け継ぎつつ、あえて季語の温存を決意した虚子を、たとえば「季語にとり憑かれた俳人」とみなすことは、さほど不当ではないように思われる。 しかしなぜ季語だったのか。 仁平勝(1949-)は『虚子の近代』において、虚子における季語の使用について〈箒木に影といふものありにけり〉の句を引用しつつ、言及している。 「箒木」は夏の季語であると同時に、『