またもし、おまえたちが孤児に対して公正にできないことを恐れるなら、女性でおまえたちに良いものを、二人、三人、四人娶れ。それでもし、おまえたちが公平にできないことを恐れるならば、一人、またはおまえたちの右手が所有するものを*1。それがお前たちが規を越えないことにより近い。(中田考監修『日亜対訳クルアーン』p.107) 19世紀の中央アジアを、現実的・歴史的根拠をもとにフィクションで描く森薫『乙嫁語り』は、7巻でイスラームの「一夫多妻」をテーマにする。 アニスは富豪の嫁である。 「奥様は本当にお幸せでございますね」 「そう?」 「そうですとも 何不自由なくお暮らしですし こうして男のお子様にも恵まれて 旦那様だって これだけのお家なら もう2・3人 奥方をお持ちに なってもよろしいのに 奥様ひとすじで ございますからねえ」 というのがアニスのデフォルトである。夫はグラフィックからしていかにも優