連載第4回 イップスの深層~恐怖のイップスに抗い続けた男たち 証言者・岩本勉(4) 連載第1回目から読む>>> (前回の記事はこちら) イップスを克服し、1996年には10勝をマークした岩本勉氏 憧れの存在を前にして、目を輝かせるユニフォーム姿の野球少年たち。そんなまぶしい視線を浴びながら、キャッチボールを披露していた元日本ハムファイターズの岩本勉は内心、「やばい、来たな......」とつぶやいた。プロ野球を引退して10年以上が経っても、岩本の「イップス」はいまだに再発する瞬間があるという。 「小学生相手の野球教室でも、いまだに(イップスが)来ますよ。でも、もうずるい大人なので、『おっちゃんコントロール悪いから、お前ら逃げろよ!』とごまかしながら投げる(笑)。自分で自分の心にゆとりを作らないといけないんです」 この境地までたどり着くには、気が遠くなるほどの長い時間が必要だった。 岩本が投球