江戸後期の女性皇族の地位 皇統に重要なのは男系か? 社会学的皇室ウォッチング!/38=成城大教授・森暢平〈サンデー毎日〉 「男系継承」の議論はどうなるか――(日本雑誌協会代表取材) 今回は、江戸時代後期の女性皇族の地位を、光格天皇の中宮(皇后にあたる)、欣子(よしこ)内親王(1779~1846年)から考えていきたい。当時の皇位継承を子細に検討してみると、決して男系による継承だけが重視されていなかったことが分かる。本稿執筆にあたって、大阪大学特任研究員、佐藤一希さんの新稿「文政~弘化期の朝廷における新清和院の地位―仁孝(にんこう)天皇との関係を中心に」(『史林』105巻2号)を参考にした。 1816(文化13)年2月25日、中宮欣子に男子が生まれた。高貴宮(あてのみや)(悦仁(としひと)親王)である。欣子は当時36歳(満年齢に換算、以下同じ)。彼女は20歳のとき、一度男子を産むが2カ月で亡く