豊橋技術科学大学の蒲生浩忠大学院生と引間和浩助教、松田厚範教授らは、硫化物系全固体電池の電解質分解プロセスを特定した。正極複合体内部の硫化物固体電解質が、硫黄原子が連なるチオリン酸に変化する。この反応を抑えられれば、全固体電池の長期信頼性が向上する。 正極活物質の硫化リチウム(Li2S)と硫化物固体電解質のLi3PS4を混合して正極複合体を形成し、充放電反応を繰り返して分析した。すると硫化リチウムの酸化還元反応以外に、Li3PS4の酸化分解と分解生成物の酸化還元反応が起きていた。 充放電を繰り返す内に硫化リチウムは反応しなくなり、分解生成物のみが反応するようになる。硫黄原子がつながったチオリン酸に変換された。 この反応を抑える電極界面を設計できると長期信頼性のある全固体電池開発につながる。
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