本当に、損な男だなあ。 前田俊介を見ていて、いつもそう思います。 「やる気を出せ」 「やる気が見えない」 そんな言葉を、いつも投げかけられる男です。彼自身は走っているつもりでも、「全然走っていない」と指摘されてしまうんです。 本当に損な男だと思います。 3年目というのは勝負の年。それは昨年、吉弘も青山も言っていました。3年目、ここで結果を出せば、プロサッカー選手としての人生も見えてくる。しかし、逆の目が出てしまったならば、プロとしてやっていくのが難しくなる。 それは、誰もがわかっています。安穏と、3年目を迎えた選手など、一人もいません。いるはずもありません。まして、2年目の柏木陽介がレギュラーを奪い、そして日本代表候補にまで上り詰めているのですから。 考えてみれば、彼らはまだ20歳です。自分が同じ年頃の時は、まだ大学生。クラブ活動に夢中で、人生の現実に直面したことなどありませんでした。