先月、大ヒット映画「ダイ・ハード」「アルマゲドン」などで主演した俳優のブルース・ウィリスさんが「前頭側頭型認知症」との診断を受けたと家族が公表し、大きな話題となりました。ウィリスさんはまだ60代後半であるうえに、聞き慣れない病名に驚いた人も少なくなかったのではないでしょうか。同じ認知症でも全体の7割近くを占めるアルツハイマー病と違い、わずか1%程度しか患者がいません。その病態は一般にはあまり知られていませんが、実は患者の家族に大変な苦労をもたらす病気でもあるのです。これを機に、この前頭側頭型認知症について、みなさんに知っていただきたいと思います。 「彫刻刀?」「果物を切るやつですね」 まずは、私が受け持ったある患者さんのケースをご紹介します。 その患者さんは、東京都内で雑貨店を営む54歳の男性でした。お客さんとの間でおかしなやりとりを繰り返しているということで、若年性認知症ではないかと家族
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