介護現場で働く人たちが、利用者やその家族からハラスメントを受ける事例が相次いでいる。多くは女性で、けがを負いそうになった深刻なケースもある。 「監禁されるかもしれない」。神戸市で訪問介護の仕事をしている介護福祉士の女性(53)は、約2年前の出来事を振り返る。 寝たきりの80歳代の女性宅。おむつ交換のため、玄関で靴を脱いだ際、「ガチャッ」という音がした。同居する50歳代の息子が、ドアの鍵を閉め、チェーンも掛けようとしていた。女性が警戒し、「すぐに帰るんで閉めんといてください」と言うと、息子は解錠した。 しかし、その後も訪れる度に同じことが繰り返された。母親のおむつを替えている時、背後に気配を感じて振り返ると、息子が顔を近づけてきたこともあった。息子から「結婚しとん?」「きれいやな」などと言われた同僚もいた。 職員たちは対策を考えた。利用者宅はマンションの1階。玄関をふさがれても逃げられるよう