子供の頃、近所にいつも落ち着きのない少年がいた。いつも快活だったが、少し話すと、すぐに軽度の知的発達障害があるのがわかった。運動神経も悪く、よく転んで衣類を汚していた。 しかし、当時の特殊学級(なかよし学級などと呼ばれていた)に入るほどではなかった。 落ち着きがない子供は、習字の授業になると、全身が墨だらけになる。もちろん手や足や衣類全てである。子供心に、習字の授業で、なぜあのような汚れ方をするのかが謎であった。と言うのは、墨など付きそうにない場所まで汚れていたからである。 年齢差だが、たぶん僕が5年生くらいで、彼は1年か2年生くらいだったと思う。 ある日、彼の額にハンコが押されていた。 これも謎の事件で、なぜあのような場所にハンコが押されているのか、さっぱりわからないと言えた。本人に聞くと、担任の先生に押されたと言うのである。おそらくだが、粗相があって、罰としてハンコを押されたんだと思う