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ふたりぐらしに関するbukkenfanのブックマーク (42)

  • 豆苗が育つキッチンで、今日はなにを作ってくれるの。(福岡市城南区48㎡の賃貸物件) - 物件ファン

    トントントン、と包丁の音。 やさしい緑のタイルが主役の キッチンでは、今日も今日とて リズミカルな音が響いている。 僕より帰宅が早い彼のほうが いつのまにか料理担当になったから、 自然と掃除は僕の担当になった。 料理の音がしているあいだに、 ゴシゴシとトイレやお風呂を磨いている。 プロパンガス用の2くちコンロは、 だいたいどちらも使われている。 片方で汁物、片方でメイン料理が 作られていることが多い気がする。 光が差し込むキッチンでは、 豆苗やにんじんの切れ端が すくすくと元気に成長中。 玄関側の出窓でも、 なにかしらの野菜が育っていたり 野菜の皮が干してあったりする。 一緒に暮らし始めたころは 丁寧な生活だなぁと思ったけど、 どうやらそういうわけでもなさそう。 どうやら彼はただつつましく、 お得に暮らしたいだけのようだ。 「お買い得」という言葉に弱い。 たまにいろいろ買いたくなって、 ど

  • 新築のテラスハウスで、一緒に住むまであと少し。(東京都杉並区59㎡の賃貸物件) - 物件ファン

    2024年2月に完成予定。 新築のテラスハウスで、 どんな暮らしが始まるだろう。 3階建てのテラスハウス。 「1階と2階、募集してたよ。 メゾネットなんだって」。 彼女の言葉に私から返した、 「一緒に住めたら楽しいだろうね」。 そして聞こえた、彼女からの 「じゃあ、一緒に住もうよ」。 一歩を踏み出してくれるのは いつだって彼女のほうで、 与えてもらってばかりでごめんね。 やったぁ、一緒に住めるのって、 全身でうれしさを表現できたらな。 完成間近の建物を見に行ったときも、 間取り図を眺めながらふたりで 「部屋はひとつずつ使えるね」 「LDKが14帖以上、広くていいね」 といろいろ話していたときも、 当は夢みたいにしあわせだった。 シューズボックスがあるから、 少しくらいが増えても大丈夫。 ふたり分のがごちゃごちゃと あふれることはなさそうだよ。 「ただいま」のあとは、 2階のリビングに

  • 光が抜ける3階建てで、ふたりだけのルームシェア。(京都市中京区15㎡の賃貸物件) - 物件ファン

    「一緒に暮らそう」は言えない私も、 「ルームシェアしない?」は言えた。 家賃も手頃だし、女性限定だし。 あれこれ伝えた理由の中に、 そっと含めた「住めるのはふたりだけ」。 3階建てのシェアハウスは、 女性限定、定員は2名。 お互い照れ屋で、言葉足らずで。 それでもこのシェアハウスの中に 私と彼女の暮らしがあることを、 きっとお互いに期待していた。 彼女が「いいよ」と頷いたときは、 思わず心の中でガッツポーズ。 3階に並ぶ2つの個室は、 どっちがどちらを使おう? 「バルコニーがあるほうは 譲ってくれる?」の彼女の言葉に、 どうぞどうぞと思いながらも 「仕方ないなぁ」と返事した。 バルコニーなんて、どうぞだよ。 一緒に暮らしてくれるなら、 ふたりで過ごしてくれるなら。 玄関の扉には、視線を遮りつつ 光は通す美しいステンドグラス。 やさしい光を背中に受けながら、 リビングにいる彼女に 「ただいま

  • 神楽坂のメゾネットで、ゆらり水槽で泳ぐように。(東京都新宿区31㎡の賃貸物件) - 物件ファン

    東京都、新宿区。 神楽坂のメゾネットは それはそれは彼女によく似合う。 一緒に暮らしているのに、 彼女の生活のなかに お邪魔している気分になる。 旗竿地に建つ建物は、 手前にオーナーさんのお宅。 正面からは見えない秘密の場所に 3戸の部屋が隠されている。 そのひとつに、彼女が暮らす。 彼女はほとんど2階で過ごす。 事のときだけとんとんと 気だるげに階段を降りてきて、 事を終えたらまたすぐ上に。 「ごちそうさま」とつぶやいて 階段を上がっていく彼女を見て、 自由だなぁ、独特だなぁと思う。 2階の6.5帖の洋室には、 シンプルなマットレスと 小さなチェストだけを置いている。 ふたり分の服はすべて たっぷりのオープン収納に。 どちらも物が少ないから、 まだまだスペースに余裕がある。 マットレスにいないときは、 彼女はだいたいバスルームにいる。 ガラス貼りの浴室は あわい光で包まれていて、 そ

  • やわらかアーチ、ふんわり内装。ふたりの「かわいい」と暮らそう。(神奈川県小田原市31㎡の賃貸物件) - 物件ファン

    やわらかなアーチの入り口、 その奥でひそやかに微笑む 若草色の愛らしい扉。 外壁は明るいインド砂岩で、 心まで晴れやかにしてくれる。 かわいいものを見て、 「かわいい!」と言い合う。 気づいたらそれが 私たちの日常になっていた。 だからこのお部屋を見たときも、 ふたりで顔を見合わせて 当たり前のように「かわいい!」。 左の建物が「hana棟」、 右の建物が「kaze棟」。 内見のときに「ご紹介するのは hana棟の2階の角部屋ですよ」と 不動産屋さんに言われたときも、 お花の香りが漂ってきそうな名前に ふたりで目を見合わせて喜んだ。 彼女に「ただいま」を言う前に、 ガスライト風の照明と さりげない扉のハートマークに 心の中でただいまを言う。 下の洋室は私のスペース、 上のロフトは彼女のスペース。 ウォークインクローゼットは ふたりで一緒に使っている。 やさしい色合いのお部屋には、 ふたりで

  • ガラスの向こう、彼女の背中に「ただいま」を。 - 物件ファン

    視界が抜けている ガラスの間仕切りの向こうに、 今日も彼女の背中が見える。 3帖の洋室の中が、 仕事中の彼女の定位置。 扉を開けてリビングとつなげれば 広い空間で仕事ができるのに、 「これくらいが落ち着く」らしい。 ガラスの向こう側にいる背中が、 たまに知らない人みたいに見える。 こちら側に戻ってきてほしくて、 部屋に帰ってくるたびについ 仕切りをそっと開けてしまう。 「……ただいまぁ」と声をかければ、 くるりとこちらを向いて 「ん、おかえり」と彼女が微笑む。 その声と笑顔を受け取って、 やっと心がほぐれていく。 13.1帖のLDKには、 ふたりで使うといっぱいの まぁるい机と椅子が置いてある。 お互いに人を呼ぶ気はないから、 特に迷わずに選んだサイズ。 ふたりで作る料理を、 ふたりだけでべる日々。 窮屈さはない、飽きもしない。 おだやかな時間だけが ふたりの間に流れていくだけ。 彼女が

  • ふたりで、元気なおばあちゃんになりましょう。 - 物件ファン

    「◯歳までお互い ひとりで暮らしてたらさぁ、 うちら一緒に住むのもいいよね」 今よりずっと若いときに ポンと出たあの言葉が、 まさか現実になるなんて。 あのときはお互い 信じていなかったでしょう? ふたつの洋室は、 それぞれの部屋として。 和室は一緒にゴロゴロする部屋に。 彼女が見つけてきた物件は、 ふたりで暮らしていくには なにも文句がない間取り。 北側の洋室は私の部屋。 置いてある家具は ベッドとデスクくらいなので、 6帖の空間がさらに広く感じる。 南側の洋室は彼女の部屋。 私の部屋と同じ6帖のはずなのに、 物があふれているせいで 実際よりコンパクトに見える。 フルリフォームされた内装は、 ホワイトベースのさわやか仕上げ。 「おばあちゃんになって もし家にいる時間が長くなっても、 部屋が明るいと気分がいいでしょう」 ふわりと笑って彼女は言う。 そうね、私たち一緒に 元気なおばあちゃんに

  • ふたりを守る、みずみずしい緑のカーテン。 - 物件ファン

    緑のカーテンからこぼれ落ちる やさしい光を浴びながら、 今日もすぅはぁと深呼吸。 この部屋で暮らし始めてから、 なんだか息がしやすくなった気がする。 私が光をたっぷり顔で受けて のんびりまったりしていると、 飲み物を持っていつも彼女がきてくれる。 「日焼けしちゃうよ」と言いながら、 けれどそれもありだねの顔で笑いながら。 私は「ありがと」とカップを受け取り、 その場でコクコクと飲み干す。 彼女と暮らすこの家は、 まるで夢みたいにおだやかだ。 私を脅かすものはなにもなく、 ただゆったりと時間が流れていく。 目の前に大きな公園があるので、 もりもりと元気な木々がよく見える。 公園で遊ぶことはないけれど、 季節ごとに変わる木々の姿を そばで見られるのはうれしい。 広々としたリビングダイニングの中で、 私たちは春夏秋冬の 4つの季節を味わうのだ。 ふたつ続いている洋室は、 扉で空間を区切らずに 大

  • 「本と彼女の暮らし」に混ざる - 物件ファン

    私たちの部屋には いつも音楽が流れている。 彼女がチョイスする曲は おだやかで、ゆるやかで。 時間がゆったり過ぎていく。 モダンなテレビボードには 大きなテレビを置いたけれど、 つけるのは私ひとりのときだけ。 「音楽のほうが好き」と、 彼女が言うから。 彼女との暮らしは まるで凪いだ海のよう。 リビングで音楽を聴き、 を読み、事をして、 日付が変わる前には ベッドルームに移動する。 刺激的な外の世界から 切り離されているようで、 それがたまらなく落ち着く。 この部屋を見つけたとき、 「あぁ、きっと気に入る」と すぐに彼女の顔が浮かんだ。 今までも、これからも、 に囲まれて暮らす彼女。 ここならしっくりくるだろう…と。 リビング収納は すべて彼女ひとりのもの。 扉を開ければたくさんの物語が、 いつでも彼女を迎えてくれる。 あふれてしまったは 大容量のテレビボードへ。 高い棚は彼女ひと

    「本と彼女の暮らし」に混ざる - 物件ファン
  • アーチの向こうで待ち合わせ - 物件ファン

    レトロなアパートで ふたりの暮らしが始まって、 あっという間に季節が過ぎた。 夏が来て、秋が来て、 冬が来て、春が来て。 とうとう二度目の夏が来る。 珍しい間取りの3Kは、 私たちの暮らしによく馴染んだ。 キッチン横の約6帖の洋室で、 毎朝ふたりで事する。 帰りがバラバラなふたりだから、 せめて朝は一緒にべようと 自然と集まるようになった。 早起きは得意だと 思っていたけれど、 まだ一度も彼女より先に 起きられたことがない。 目が覚めるといつも、 身なりを整えた彼女が 先にキッチンに立っている。 窓からたっぷりと差し込む 日の光を浴びながら彼女は言う。 「おはようございます」 ボサボサの髪を 手で撫でつけながら、 「おはよう」と彼女に返す。 リノベーションされた 築50年ほどのアパートを、 見つけてきたのは彼女だった。 「懐かしくて、落ち着きます」 そう言いながらゆるむ目元に、 一瞬で

    アーチの向こうで待ち合わせ - 物件ファン
  • 懐かしい団地で、「これから」を夢見る。 - 物件ファン

    「私の部屋で一緒に暮らす?」 彼女からの言葉を そこまで噛み砕かずに 「うん」とだけ返してから、 もうずいぶん月日が経った。 ふわりと届く畳のかおりに 心までからめとられて、 もうどこにも行けそうにない。 約6帖の和室と、約4帖の和室。 もともとは彼女の家だから 大きいほうを使うだろうと 思っていたけれど、 「押入れが広いほうがいいの」と 6帖の和室をゆずってくれた。 「服がたくさんあるし、 床の間も気に入ってるから」 奥行きのある押入れに、 大量の彼女の服がすっぽりと。 床の間にも飾られたバッグや アクセサリーを見て、 なるほどこのスペースは 彼女だけのものだなと思った。 私がやってくるまでは ふすまを取り外して ゆったり過ごしていたのに、 きちんとはめ直してくれて。 いいのかな、ここまで いろいろやってもらって。 不安が忍び寄ってきたとき、 見抜かれたのか彼女が言った。 「うれしいね、

    懐かしい団地で、「これから」を夢見る。 - 物件ファン
  • ふたつ並んだ、ふたりの扉 - 物件ファン

    仲よく並んだふたつの扉。 右が僕で、左があいつ。 それぞれの部屋に繋がる扉は まるで寄り添っているようだけど、 そこで暮らす僕らといえば。 「部屋にクローゼットは 絶対に必要だから」と 我が物顔で左の部屋を 手に入れたあいつは、 今日も今日とて自分の世界。 ひょうひょうとした態度で、 やれお腹が空いただの やれ退屈で倒れそうだの わがままな要望を僕に伝える。 せっかくの7.5帖の部屋、 居心地だっていいだろうに。 自分のクローゼットだって ちゃんとあってさ、いいよな。 それなのに、あいつの定位置は なぜか自分の部屋じゃない。 だいたいリビングに置いた ふっかふかのソファを ひとりじめしているか… 自分の部屋より いくらかコンパクトな、 5.5帖の僕の部屋にやってくる。 「自分の部屋に行けよ」と そのたびに言うけれど、 はいはいと返事だけをして 結局は居座られてしまう。 根負けした僕が 自分

    ふたつ並んだ、ふたりの扉 - 物件ファン
  • ふたりで眺める海がいい。 - 物件ファン

    ひとつ屋根の下に 誰かと一緒に暮らすなんて、 カケラも想像していなかった。 なのに不思議と波長が合って、 だんだんとふたりのほうが 落ち着いている自分がいて。 あぁ、この気持ちが続くなら 同じ家に住んでもいいかなと。 そう、自然と思えた相手だった。 お互いの部屋を作りつつ、 一緒に過ごす空間もある。 僕たちの理想の間取りを 見つけてきたのは彼のほう。 お互いになるべく 歩きたくないタイプだから、 駅から徒歩1分はうれしい。 疲れて帰ってきても、 すぐそこに家がある。 ダークブラウンの こっくりしたフローリングは、 僕と彼のお気に入り。 朝のさわやかな光も、 夕方のにじんた光も、 濃いブラウンがすべてを とっぷりと吸い込む。 ここに住み始めてから、 焦ることが少なくなった。 くるくる回るシーリングファンを ぼんやり眺める時間もある。 バルコニーに椅子でも置く?と ふたりで話はしたけれど、 ま

    ふたりで眺める海がいい。 - 物件ファン
  • 幻のように消えないで。 - 物件ファン

    まるで別の世界に 迷い込んだみたいだ。 ここに暮らし始めてから、 毎日のようにそう思ってる。 ふと気づいたら 私の手の中にはなにもなくて、 あれ?これからどうしようと 慌て始めたときに彼女が言った。 「とりあえず、うちに来れば」 そうして始まった共同生活は、 夢のようで、幻のようで。 私が過ごしていた世界とは まるで違う華やかさに、 頭がクラクラしてくる。 彼女はそんな私を見て、 「いつも通りでいい」と言う。 いつも通りでいいと言っても、 私の日常にこんなに洗練された エントランスはなかったもん。 緑はきれいだし、池もあるし。 こんなにおしゃれな集合住宅、 いったいどんな人が住むんだ… と考えたところで、 あぁ彼女みたいな人が住むんだと ひとりで納得した。 「部屋の中に階段がある! 一軒家じゃないのに!?」と びっくり仰天していたら、 「メゾネットタイプだから」と 彼女が教えてくれた。 メ

    幻のように消えないで。 - 物件ファン
  • この青空が、私たちの味方 - 物件ファン

    どんよりした曇りの日も、 ばしゃばしゃの雨の日も、 しんしんとした雪の日も。 「青空が見たいな」と思えば、 いつだってそこにある。 だからもう、私たちは大丈夫。 すぐ近くにある青空が、 ふたりに元気をくれるから。 ふたりともクタクタで、 ひとりじゃどうにも がんばれそうもないねと。 守り合うようにふたり 寄り添い始めたあの日から、 あっという間に時間が過ぎた。 今ではこうして同じ部屋で、 笑って泣いて怒っている。 たくさんの部屋を チェックする気力すら 失っていた私たちと、 まるで運命みたいに 出会ってくれたのがこの部屋。 切り取られた青空が、 まるで「ここにおいでよ」と 言ってくれているみたいで。 「いいよね」「そうだね」と、 迷うことなく決断した。 天窓から入ってくる光が、 さわやかなブルーに キラキラと反射して。 この青空のそばにいるために、 真下に大きなソファを置いた。 私がソファ

    この青空が、私たちの味方 - 物件ファン
  • おいしい気持ちがあふれるキッチン - 物件ファン

    ひとりで暮らしていたときは お腹が空かなかったのに、 ふたりで暮らすようになってから しっかりお腹がグゥと鳴る。 胃袋が空っぽですと、 体が私に知らせてくる。 私の生活を見かねてか、 「そろそろ一緒に暮らそうか」と 言ってくれたのは彼女から。 引っ越すことで変わるのは 部屋だけだと思っていたけど、 まさか胃袋まで変化するとは。 仕事を終えて家に着くと、 今日のご飯はなにかなぁと まず考える自分がいる。 ソワソワして、ワクワクして、 つい口角がゆるんと上がる。 玄関を開けると、 ふわりと届くいいにおい。 今日のメニューはなんだろう。 1階も2階も無垢材の床で 足の裏が気持ちいいから、 スリッパは履かずに 裸足でスルスルと移動する。 廊下を進んで 広々したリビングに入ると、 キッチンに立つ彼女の姿。 「ただいまぁ」と言うと、 「おかえり」と返ってくる声。 それがうれしくて、たまに 何度もただ

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  • これからずっと、この景色をふたりで - 物件ファン

    将来を考えずにいることが、 今を楽しむコツだって。 いつしか未来を夢見ることさえ 諦めていた私に、彼女が言った。 「そろそろうちらの家、 ちゃんとあってもいいかなって」 「海のそばに住みたいって、 いつか言ってたでしょ」 ニコニコしながら 彼女が見せてきたのは まるで夢みたいな家で、 そう、夢みたいな家で…。 受け止め方がわからない私に、 やさしい口調で彼女が続ける。 「この先を考えてもいいじゃん、 だってふたりでいたいでしょ」 暮らし始めたばかりのころは、 やっぱり夢の中みたいで。 帰宅して家が見えてくるたび、 部屋が空っぽだったら どうしたらいいんだろうって。 玄関を開けて不安を 少しずつ消していくうちに、 やっと「ただいま」を 笑顔で言えるようになった。 フルリノベーションされて ピカピカになった部屋は、 きれいと居心地のよさを どちらも兼ね備えていて。 よく探してくれたなぁと、 彼

    これからずっと、この景色をふたりで - 物件ファン
  • 今日はなに釣る?葉山の海で。 - 物件ファン

    起きたらまずは、 カーテンを開けて海を見る。 いい天気、いい天気。 ニンマリと口角を上げて、 ぐーすか寝ているあいつに 壁越しに声をかける。 「なぁ!絶好の釣り日和!」 お互いに仕事が自宅作業になり、 「もうどこでも住めるよなー」と 呟いた俺の言葉がきっかけ。 「ふたりで割ってひとり5万、 休日は一緒に釣りしよーぜ!」と、 まるで学生のころみたいに 目をキラキラさせてあいつが 誘ってきた日から、もう半年。 「一緒に住んでやるから 部屋は俺に選ばせろな」と、 使い慣れていた洋室をゲットした。 あいつの勢いに押されて OKした感じはあったけど、 ここでの暮らしもなかなかいい。 なんたってバルコニーに出れば… あ~気持ちいい、最高だ。 寝起きのぼーっとした頭も、 海を見ているとだんだんと ワクワクして冴えてくる。 今日はなにが釣れるだろう、 でっかいのがこないかなー。 そう思いながら、ほんじゃ

    今日はなに釣る?葉山の海で。 - 物件ファン
  • 私たち、きっと大丈夫。 - 物件ファン

    世間のあれこれに なんだか疲れてしまって、 あぁいいや、もういいやって。 たくさんのものを 手放してしまいそうなときに、 彼女が私に言った。 「頭空っぽにしてさ、 私と一緒に過ごしてみようよ」 肩を丸めて都会で 暮らしていた私の手を、 彼女はゆっくりひいて歩く。 少なすぎる私の荷物が 丁寧に運び込まれたのは、 庭付きの一戸建て。 というより、 広い広い庭に なんと家もセットです! という感じの物件。 木々や草の緑色を、 久しぶりに見た気がする。 「わぁ、みどりだ」と 子どもみたいな感想を ぽつりとつぶやいた私に、 彼女がやさしく笑いかける。 「目にやさしいでしょ」 「おじゃまします」と おそるおそる入ったら、 「ただいまがいいな」と また彼女がふわりと笑う。 そうか、これからここに、 ずっといていいってことか。 住み始めてから、 1階の和室が 私の定位置になった。 窓をすべて開け放って、

    私たち、きっと大丈夫。 - 物件ファン
  • 木漏れ日の中でまどろむ - 物件ファン

    お互いに自宅で 仕事をするようになって、 あれよあれよと夏になり 秋になり、冬になった。 たまに過ごす一緒の休日に、 彼女がふとつぶやいた。 「どこにでも住めるよねぇ」 その言葉が、きっかけ。 私が引っ越しを決めて、 彼女もそれにのっかった。 「私もついてく」って、 そんなに簡単でいいの?と 聞きそうになったけれど。 一緒に住んでくれるなら 別にそれでいいかと、 言葉をごくんと飲み込んだ。 「べる」と「寝る」を わけられる間取りで、 広いバルコニーがあって、 なにより家賃が安いところ。 そうして見つけた レトロなマンション。 家賃は4万7000円。 ふたりで住むには ちょっと狭いかなと 少し心配だったけれど、 ダイニングが7.5帖だから 意外とゆったり暮らせている。 絶対に置きたかった ソファとローテーブルも、 お気に入りを見つけられた。 家賃のおかげで 生活費が浮いたから、 その分

    木漏れ日の中でまどろむ - 物件ファン