≪美智恵≫ 「ドクター、彼女たちが言っていたことは」 部屋の外に出てはいたが声は聞こえていた。 冥子ちゃんに近づいた以上、先生が横島君についての過去は徹底的に調査をしていた。 そして横島君は私たちと出会って以来、大切な人を亡くしたりはしていない。 少なくとも、マリアが口にしたような事実はないはずだ。 「真実だよ。私は横島との協力の約束をする際、横島の過去を映像としてすべて見せてもらった。対価として私が若返るための時間を用意してな。言っておくがこの件について私から話すことは何もない」 ドクターは神算鬼謀の持ち主だが、身内にそれを使う性格ではない。 必要性がなければの話ではあるが。 言わぬというのなら言わぬのであろうし、その必要はないと判断しているのだろう。 存在しないはずの過去。 それにひとつだけ私は心当たりがある。 「……時間移動者?……いいえ、ちがうわね」 同じ能力を持つ自分だからこそ出