獣に人を喰わせてはならぬ、魔物になるから―― そんなお伽噺を昔聞いたことがあるが、それがまさか本当だとは思いもしなかった。 クロール・ロックハート 職業:鍛冶屋見習い 享年:22歳 どうやら私は、竜に喰われて死んでしまったらしい。 ==== 私は小さい頃から、鉱物が好きだった。 平凡な町商人の次男坊として産まれ、それなりに愛情を受けて育てられた結果、私が最も愛したものは鉱物であった。 きっかけは何だっただろう。父が交易のために仕入れた異国の宝石に魅入られた時だっただろうか。 とにかく、私は暇さえあれば一日中鉱物を眺めては過ごしていた子供だったらしい。 両親も最初はそんな私を心配していたらしいのだが、言っても聞かぬ私に次第に諦めたようで、その内に何も言われなくなった。 そんな私が15歳になった折に鍛冶屋の道に進んだのも、必然と言っていいだろう。 三軒隣に住む幼なじみのカトレアなんかはそんな私