『Epilogue&Prologue』 「答えは得た。大丈夫だよ遠坂。オレも、これから頑張っていくから」 直後、ざあ、という音。 自分の体が透明な粒子となって風化していくのを彼は知覚する。 思い出すのは、憎まれ口を叩き合いながらも、振り返れば楽しかったと断言できる日々の記憶。 ――この記憶も、次に呼び出されるときにはリセットされているのだろうな。 もうすぐ忘れてしまうのだろう。もうすぐ消えてしまうのだろう。彼が長い長い旅路の果てに得ることができたささやかな幸せの思い出は、もうすぐ二度と手の届かないところに行ってしまうのだろう。 それを、寂しいとは彼は思わない。 それは彼が自ら選んだ道である。後悔などしていない。犠牲にしてきたモノたちのためにも、彼には後ろを振り返っている暇などないのだから。 これから先も、彼は霊長の抑止力の守護者として――つまり掃除屋として――召喚され続ける。百を助けるため