不愉快な会議を終えて、喫煙室へと向かった。自分で責任を取らなくてもいいと解ってしまっている若造に事の重大さを伝えるにはどうしたものか、と一人ごちながらライターを灯す。 俺は芸能事務所でアイドルのプロデューサーというものをやっている。言葉の響きからだけなら、きらびやかで、楽しげなことばかりに思えるだろうが、実体はそうではない。 先程まで行っていた会議だってそうだ。先日ウチの事務所の主催で開催されたライヴにおいて、会場外で待機させていた客の列が歩道を占拠してしまった件で、所轄の警察署から厳重注意を受けたのだ。 完全にこちらの不手際で、申し開きのしようがない。売り出したばかりのアイドルのライヴだ。大勢の客が来てくれることそれ自体は喜ばしいことだが、キャパシティを遙かに越える人数が集まってしまうとは誤算だった。だがそれも、客の動きを「読みそこなった」こちらが悪いのだ。 「お宅らだって長年やってるん