このメガヒット背景の背景には何があるのか。それぞれの映画が観客が望む“何か”に応えているからこそ、このヒットが実現しているはずだ。それは何なのか。 日本のアニメの興行を考えるときに、いつも思い出し(そしていつも引用する)文章がある。これは映画監督・黒沢清が書いたもので、「人間なんかこわくない」(青土社『映画はおそろしい』所収)の一節だ。ここで黒沢は、世間が何を「映画」と呼んでいるかについて考えている。 多分ジョン・フォードだ。彼自身がたくらんだと言うより、彼の評価のされかたあたりからぐーんと映画は人間ドラマに接近した。が、それでもフォードの映画にはスペクタクルの要素や派手なアクションがあり、何かそういう「見せる」娯楽性と人間の深みとが一体になった理想的形態としての道を映画は歩むのか、と当時は見えたのかもしれない。その後歴史的にはまあいろいろあったわけだが、「見せる」スペクタクルと「感銘させ