敬虔なヒンドゥー教徒が多いインドでは、あらゆる日用生活品のパッケージに、彼らの信じる「神さま」が描かれている。ヒンドゥーの教えに従えば、神々の数は約3億3,000万。その種類は実に多様だ。 「神さまがプリントされているだけで、売れ行きだって大きく違うんだ」 露天商のこの言葉を聞くだけでも、どれだけ信仰が人々の生活の中に深く根ざしているかは、想像に難くない。商品を売る側もヒンドゥー教徒なら、買う側もまたしかり。 本来、消費者からすれば、必要なのは商品の中身であってパッケージではない。それでも、信仰の厚い人からすれば、神々が描かれた包装紙を「むげに捨てることなんてできない…」ということになる。 ある人は街路樹の下に不要となった包装紙を置く。“ポイ捨て”という発想ではなく、そっとそこに置いていく、というのが正しいのかもしれない。 ほかにも、橋の上から川の水の中へと落とす人。彼らは、わざわざこの場