8月5日、神戸の理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)で、副センター長の笹井芳樹さんが自ら生命を絶ったという報道がありました。 このコラムでも、また東京大学で開いている哲学熟議などでも、一貫して[罪を憎んで人を憎まず]個人攻撃のようなことではなく、適切に問題を切り分けて早急に適処する重要性をお話ししてきましたが、こういう形で犠牲者が出てしまいました。 今回は、笹井さんの訃報に続いて伝えられた、いくつかの報道を目にして、私が気づいたこと、これもまたたぶん、他のあらゆるメディアで一切触れないであろう内容に絞って、お話ししてみたいと思います。 同世代として感じる「責任意識」 笹井さんの行動の背景や、その意図といったものをここで詮索するつもりは全くありません。ジャーナリストでもなければ批評家でもない、しかし笹井芳樹さんとほぼ同じ世代に属して、似たような時期に大学に籍を置いて仕事してき