大学で歴史の教員をしていた際に開設した「史論家練習帳」を、この原稿をもって閉じることにしました。まずは長年更新できなかったことでご心配をおかけした(かもしれない)読者のみなさま、また本稿の掲載にあたって懇切なサポートをいただいたYahoo!ニュース個人のスタッフのみなさまに、ふかくお詫び申し上げます。 昨秋に、開設時の勤務先を離職しましたので、職業的な意味での「歴史学者」を廃業しているのは自明のことです。それにいたる経緯は、本日刊行となる『知性は死なない 平成の鬱をこえて』(文藝春秋)にまとめたので、ご関心のある方はそちらをご参照いただくとして、最後にこの場をお借りして、より本質的な意味での、私にとっての「歴史」の喪失について記したいと思います。 歴史を語らなくなった識者たち歴史学者という肩書で、雑誌に連載を持たせていただいたとき(2012年)、初回の一行目に「歴史というものは、人間の社会
![歴史学者廃業記 歴史喪失の時代(與那覇潤) - 個人 - Yahoo!ニュース](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/850906e908be9c0a789cb91ed4decea417c5ba13/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Frpr.c.yimg.jp%2Fim_siggmuUNUm.ExTAIfWioa8y5rg---x200-y200%2Fyn%2Frpr%2Fyonahajun%2Fprofile-1372859500.jpeg)