通勤途中らしきスーツ姿の若者が歩くのに合わせて、お腹の部分に青白い炎が上がる。 よく見る清涼飲料のコマーシャルだ。飲めば体内の脂肪が燃焼することを窺わせる メッセージも流れる。 トクホ――。特定保健用食品と呼ばれ、現在九百以上の商品が発売されている。 本格的に販売されるようになったのは一九九〇年代後半だ。市場規模を見ると、記録の残る 九七年の一千三百億円余りから急増し、二〇〇七年にピーク(約六千八百億円)を迎えた。 二年ごとの調査のため、最新の数字は〇九年の約五千五百億円だ。トクホの定義は次の通り。 「食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の 目的が期待できる旨の表示をする商品」 極めて曖昧な表現だ。「健康によい」というイメージだけで「お化け商品」が生まれる トクホは食品メーカーにとってドル箱である。 しかし、この「健康によい」とい