ワクワク感はなかった。2020年に開催される東京五輪・パラリンピックのエンブレム発表会に、落胆の声が上がっている。公開された最終候補作4案の中からアーティスト野老(ところ)朝雄さん(46)がデザインしたA案「組市松紋」が選ばれたが、発表会直前に漏れて、セレモニーは台なしに。また、事前に「A案ありきだ」と喧伝されたこともあり、エンブレム委員会の宮田亮平委員長(70=文化庁長官)は会見でイラ立ちを見せた。全く盛り上がらなかった発表会の舞台裏を追跡した。 発表会の冒頭、森喜朗組織委員会会長(78)は「朝から緊張とワクワク感でいっぱいでした」とあいさつした。しかし、現場の空気は、ワクワクというより疑心暗鬼に包まれていた。 発表会に先立って開かれた組織委理事会で、エンブレム委員会が投票で選んだ採用案を承認。理事会が終わってしばらくして「A案に決定」と通信社、民放、NHKの報道が相次いだ。まだ公に