副作用を議論しない政策論議は不誠実 衆院選で掲げられた「教育無償化」は、無償化とはいえない代物だった。今後の議論で修正される可能性はあるが、少なくとも蓋を開けてみた時点では、パッケージと中身が違う。残念なことに、私たちは最近そんなことに慣れっ子になってしまっている。 「働き方改革」もそうだった。「ニッポン一億総活躍プラン」が発表されたのが2016年6月。主たるメッセージは、男女ともに仕事と子育てを両立できる社会を目指すという宣言だった。その流れを受けて9月には「働き方改革実現会議」が設置された。しかし論点はすぐにすり替わった。 「ニッポン一億総活躍プラン」の趣旨に沿うならば、「働き方改革」で議論されるべきは、男女ともに仕事と家庭が両立できる、ワークライフバランス重視の働き方であるはずだ。しかし会議の早々から論点は過労死ラインを巡る残業時間の上限規制になってしまった。「生活」を意味する「ライ