例えば、イノセンスだ。 イノセンスの「絵が気持ち悪い」という意見があったとする。 リアルさが気持ち悪いレベルまで来てしまっている、と。 しかし、その一方でイノセンスという作品と「気持ち悪いほどリアルな絵」はマッチングしている。 「義体」という設定的な面でもそうだし、押井監督のテーマである「虚構と現実」にも合っている。 つまり、イノセンスの「絵」は「どうやるか」という点においては、 まったくもって理に適ったものなのだ。 これは同じことが今敏監督作品にも言える。 作品のやりたいことと、その表現方法がマッチングしている。 もし「気持ち悪い絵」を問題があるとするならば、 一つとしては、それは絵自体に問題があるというよりも、 「作品」がやろうとしていること自体に問題があるということになる。 そんな気持ち悪い絵を要求するような作品を作るな、と。 でも、それは言っても仕方のないことのような気もする。 一