米住宅市場では価格が上昇し続け、在庫が減少し続けており、住宅取得能力が終わりのない危機にあるかのようにさえ感じられる。その理由は、建設低迷から学生ローン、初期購入者向け住宅の買い占めまで多岐にわたる。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって住宅価格がかつてない速さで上昇しても、安価な住宅ローンが買い手を引き付けていた。しかし現在は、全く新しい住宅取得能力の危機が始まっており、明白な出口は見えない。 昨年来の積極的な金融引き締め策により、30年物の住宅ローン金利はこの四半世紀弱で最も高い8%近くまで上昇し、40万ドル(約6000万円)のローンの月々の支払いは1100ドルほど膨らんでいる。金利の上昇が価格の下落につながるのであれば、なんとかなるかもしれない。しかし、いわゆる「ロックイン効果」のため、供給への影響はさらに深刻だ。住宅所有者は、金利が底をついたときに組んだ割安な住宅