進化と感情から解き明かす 社会心理学 (有斐閣アルマ) 作者:北村 英哉,大坪 庸介有斐閣Amazon 本書は進化心理学的観点から社会心理学を解説しようという本だ.題名に「進化と感情から解き明かす」とあり,「感情」が特に強調されているのは,感情自体が適応的な社会行動を動機づけるために進化してきたメカニズムであり,進化心理学が「ヒトの行動が意識的な適応度計算の上に成り立っている」と考えるという誤解に陥らないようにという趣旨なのだろう. まず序章で,ヒトの行動は,すべて意識的な計算の上で決定されているわけではなく感情やムードなど非意識*1の過程に大きく影響されている複雑なものであること,また社会的推論過程は一般知性だけでは説明できないことなどを解説している.このあたりは社会心理学の基礎講座ということなのだろう.そして進化適応,至近因と究極因という進化学の基礎に触れ,社会心理学と進化心理学が補完