以前、朝日新聞社のシリーズ「世界の文学」で「マンガと文学」という別冊を監修した。宮本大人、瓜生吉則、鷲谷花、伊藤剛などに書いてもらい、かなり画期的な内容になったと思う。そのときの担当者が、先日留守電に「はじめてマンガの本を編集したので送ります」とあった。そして送られてきたのが畑中純『1970年代記 「まんだら屋の良太」誕生まで』(朝日新聞社)だった。1970~79年の年次ごとの自伝的マンガに、当時の自費出版作品や『まんだら屋の良太』第一回目などが入っている。 『まんだら屋』は大ファンでかつては全部揃えていた。畑中ほど女性のタイプを描きわけられるマンガ家はいなかったし、中年以上のセックスをリアルに描けるという意味では、つげ義春に継ぎ、弘兼憲史に先んじていた(たぶん)。 畑中は 僕と同じ50年生まれだが、3月なので学年は一つ上だろう。出身は北九州小倉で、描く世界も土俗的なエネルギーに満ちていた