約10年前、中学受験をし、県外の中学に通うことになった。そこで立ちはだかったのが電車通学だ。 少し前まで小学生だった私には通勤ラッシュなど耐えられない。 もみくちゃにされて押し込まれ、目的の駅に着いて「降ります!」と叫んで通してもらおうとしても降りられないことがしばしば。 ドア付近に立ち、荷物が邪魔にならないように床に置くと、自分の身体だけ流され鞄と別れをつげることになる。 「疲れるから、準急で座っていく」ことを見出したある日。 無事に座ることができ、小さく丸まって眠りについた。 浅い眠りと目覚めを繰り返し、目的の駅の付近でしっかりと起きた。 早目に降りる準備をしよう、と顔を上げると、目の前に白髪の紳士風の方が立っていらっしゃった。 その方は降りようとする私に向けて「ちょっと待っていなさい」と手をかざす。 わけもわからず座ったままでいると、紳士なおじさんは、「降りる人がいます」と周りに伝え
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