Ⅰ 判例のポイント 最一小判昭和45年1月29日・刑集24巻1号1頁〔Westlaw Japan文献番号1970WLJPCA01290019〕(以下、「昭和45年判例」という。)は、強制わいせつ罪の成立には「犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図」が必要だとしていたが、最大判平成29年11月29日・裁判所ウェブサイト〔Westlaw Japan文献番号2017WLJPCA11299001〕は、それを変更し、借金の条件としてわいせつな写真を送るようにいわれ、それに応じて少女にわいせつな行為をした者に、強制わいせつ罪の成立を認めた。 Ⅱ 事実の概要 被告人Xは、インターネットを通じて知り合ったAから金を借りようとしたところ、金を貸すための条件として被害女児とわいせつな行為をしてこれを撮影し、その画像データを送信するように要求されたので、被害者(当時7歳)が13歳未満の女子である