室生犀星『我が愛する詩人の伝記』(中公文庫)を読む。犀星が親しんだ詩人たちで先に亡くなった彼らを悼んで小伝を書いたもの。北原白秋から島崎藤村まで11人を扱っている。以前高校生のころ、ほぼ50年前に読んでいる。たのしく読んだ記憶がある。 その印象は今回も全く同じだった。 犀星は萩原朔太郎について、詩のほかに自分と違って評論も良かったと書いている。 (……)萩原は七、八冊のノートに書きこんだ評論を暇にまかせて、どこから出版されるというあてなしに書きためていた。非常に早く書く方でありその辞句のあやつりも巧みであってああいう一見だらしのない人物が、よくも秩序を保たなければならない論文が、すらすらとながれる如くに書けるものだと思っていた。私なぞ評論風なものを二、三枚書くのにホネが折れ、うまく文章が連れ立って来なかった。彼は小説はむつかしいが評論は訳がないといい、私は小説はうまく書けても評論はひちくど
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