戦後詩を形成した荒地派の生年をスペクトラムとして見ると、おおよそではあるが、大正8年の黒田三郎から大正13年の吉本隆明くらいの、5年くらいの幅がある。彼らが戦後を迎え、「荒地」を形成するころの20代以降では、彼らのなかではそれほど大きな年齢差としては意識されなかったのではないか。が、実際のところ、そのスペクトラムに出征の有無がある。 今、たまたまではあるが、世界大百科事典を覗いたら、「荒地」について「鮎川、加島祥造、北村太郎、木原孝一、黒田三郎、田村隆一、中桐雅夫、三好豊一郎ら戦争体験を経たモダニズムの詩人たちがこの雑誌に結集し」とあり、そこでは「戦争体験」として一括されていた。間違いだとは言えないし、そこで出征経験の有無が差異として強く問われたこともなかっただろう。またおそらく、彼らの多くが戦後、海外文学の翻訳者として関わっているように、西洋的なモダニズムの基礎があり、それにがドメスティ
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