言葉と気持ちは違うの! この家森諭高(高橋一生)の叫びがまさにこのドラマの見方を端的に示している。巻真紀(松たか子)が「わたし、弾けない」「無理です、わたし上手く弾けません」などと囁けば、次のカットでは必ずや活き活きとヴァイオリンを演奏する彼女の姿が見られる。喋る言葉が全てではない。人というのは、言葉とは裏腹、その仮面の下にはどんなものが蠢いているかわからない。ドーナッツの穴のように何かが欠けていて、思ったことを上手に言葉にできない不器用な大人達のラブサスペンスである本作においてはなおのことだろう。本当の”想い”は実に些細な身体の振動やその視線の先に、零れ落ちる。そんな坂元脚本のミューズである満島ひかりの繊細な演技に割目せよ。別府司(松田龍平)の『人魚 対 半魚人』のDVDいじりが自分にも回ってくると思って差し出した手の動き(回ってくる前に巻が放り投げてしまう)、別府とベンチに並ぶ時に少し
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